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9.色々書いてみたけれど
改めて論考を読み直してみました。何とも、批判ばかりの論考になってしまいました。最後まで褒めちぎったのは、真琴シナリオだけのようです。できる限り、肯定派、否定派の対立点を明らかにするよう、中立的な立場を心がけたのですが、それが伝わったかは、少々心配であります。ただ、私が『Kanon』を評価していないかというと、全く逆です。高く評価しています。実際、良くできたファンタジーを我々に提供してくれました。それは間違いない事実でしょう。私はすでに、この一点において満足しています。その上で、本当にKEYに期待しているからこそ、『Kanon』という作品の構造を明らかにしたいという欲求に駆られたのです。今も昔も、オカルトやSF、安易な教訓話に走ることなく最後までファンタジーを描ききった作品は、そう多くはありません。
…という、建前論は置いといて、その真意は、『Kanon』は「失恋」と「ファンタジー」の物語である、という私の主張を通説としたいという、しょうもない政治的意図にあったりします。だって、この意見に賛同してくれそうな方って、少なそうなんですもの(笑)。特に、「失恋」に賛同してくれる方はいたとしても、「ファンタジー」であることを、表層的にではなく、本当に理解してくださる方は、本当に、少数にとどまりそうです。…ああ、石を投げないで(^_^;
理由は解ります。ネット社会で発言力がある方の多くが、恐らく、理工系出身であり、科学的合理的な思考で物を論評しようとするからなのでしょう。発想が、SF的なのです。ファンタジーも、SF的に合理的に読み解こうとしているのです。しかし、それでは解決できない世界があることも、また、確かなのです。で、本論考は、実は、『ONE』が「本当のファンタジー」であることの論証となる、偉大なる一歩だったりするわけです。みなさま、好、ご期待くださいませ(笑)。…ああ、ネット社会のマイノリティの道をひたすら歩む人間が、ここにまた一人(T−T
冗談はさておき、「源内考察」において、ファンタジーの表層をはぎ取るとの主張がありましたが、『Kanon』の「構造」を語る上では、やはり、ファンタジーの「様式」を外すことは、決してできないことだと思うのですが…どうでしょうか、源内氏?いえね、ファンタジー読みとしては、どうしても、ファンタジーを「ご都合主義の固まり」とするような書き方に、反論したくなってしまうのです。
もちろん、源内氏は、様々な事を含めた上で、ファンタジーをあのように取り扱っているのでしょうが、ファンタジーとは、そんな「ご都合主義」ではありません。シビアな「現実」であり、「ほんとうの物語」なのです。ここに、SF読みのファンタジーに対する偏見が見え隠れするような、しないような。まあ、私自身も、ファンタジー読みとして、SFに偏見を持っていますから、お互い様、というあたりが、真実なのでしょう。
ああ、ようやく、言いたいことが言えた(笑)。みなさま、手厳しい反論、お待ちしております。
なお、当然のことですが、『Kanon』を評価しており、KEYの次回作を期待していることは本音です。そこら辺、誤解なきようお願い申し上げます。
10 .参考文献
本論考を理解するに当たって、「特に」重要な文献の数々です。
(全体について)
(ジュヴナイルについて)
(十月七日更新)
かねてからの源内氏のご厚意により、「Kanon考察」三部作への直接のリンクを開設しました。ただ、フレームといった技術的な問題もあるとのこと、従来のトップページへのリンクも併記しておきます。
(十月六日更新)
SilentBells氏から、以下のような情報をいただいたので、ここに掲示させていただきます。
■通過儀礼の参考文献?
断片的な情報ですが、手元にある本で分かる範囲のことを要約します。
■概要
文化人類学者A・ファン・へネップによるところの概念で、誕生・成人・結婚・死などの人生の節目の出来事を指し、これらの出来事を安全に通過するための一連の儀礼が行われる。プロセスは、分離期、過渡期、統合期という3つの時期を辿る。
・特に「イニシエーション」について
通過儀礼とイニシエーションでは少し意味が違うらしい。詳しくは不明。(すみません)。通過儀礼のうちの成年式が、イニシエーションの1つとして、特に重要視されるとのこと。宗教学者のM・エリアーデによれば、広義のイニシエーションの種類を、成年式、加入儀礼、秘儀伝授の3つに分類できるとのこと。
この場合関心は成年式にあるので、どうやら、M・エリアーデの著作集を参考にするとよいらしいです。
■通過儀礼を扱ったメルヘン
アンデルセンの「人魚姫」。人間の世界に入るために、大切な「言葉」を失ってしまう。大切な「言葉」は海の中。
■参考文献
「永遠の少年」、M・L・フォン・フランツ、紀伊国屋書店
読むといいらしいとしか、今は言えません。「永遠の少年」というのは、ユングの元型イメージの1つらしいです。この前、新宿に行って探したらなかったけど、そのうち読んでみたいと思っています。
触れて欲しい本
「ノーライフキング」、いとうせいこう、新潮文庫
本編も読むにこしたことはないが、岡田幸四郎氏の解説は必読です。
7割方、Kanonの読解に通用するようなことが書いてあります。
#無責任で済みませんが、間違いがありましたら、どなたかご指摘下さい
#ますよう…。参考になるところがありましたら幸いです。
(ファンタジーについて)
(「ねじれ構造」について)
さて、この構成を見ればお解りでしょうが、私の論考は、以上、三つのキーワードで構成されています。理論自体は、そんなに難しいことはないはずです。もし、ご理解できないとすれば、私の表現が稚拙だったのでしょう。是非、ご指摘ください。その場合は、具体的に何処を修正すべきかご指摘いただければ、助かります。…って、甘えてますね、私m(_ _)m
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